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日記とか
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桃子お誕生日おめでとう。お前絶対18才じゃないだろう。と私も言われた事のある言葉ですが、送ります。
桃子の事は好きだ。でも、一緒に居ろと言われたら、拒否する。自分みたいなヤツがもう一人居ると思うと嫌になるので。

それはそうと、ベリメンの誕生日だと作品書こうと言う気が強く起こります。なのでうpします。
ぶろぐに書いて、夜にはHPの方に同じのうpします。要するにここで初出ですよ。

それでは、ももこおめでとー!!

『2番目』


美術準備室、冷たい床に座り込んで、壁に背中を預ける

頭上の窓から差し込んでくる光と外の音

まだ皆思い出に浸ろうとしているのか騒がしい

騒いでいるのは同級生か、はたまた後輩か

桃子はどっちでも関係無いか、と溜息を吐いた

 

背中とは反対側、廊下からシュタシュタと足音が聞こえる

校舎にいるのは教師と桃子くらいなはず

だとしたら、追い出されるかもしれないと思い息を潜める

しかし、確実に足音が近付いてくる

 

「桃、居るんでしょ?」

 

顔だけを傾け、声の方を向くとそこに居たのは教師ではなく

桃子が待っていた、会いたかったと言っても良い人だった

 

「佐紀ちゃん、どうしたの?」

「どうしたの、じゃないでしょ。」

「そう?佐紀ちゃん囲まれてたからももの事なんて気にしてないと思ってた」

 

ポツポツとトーンの変わらない話し方で二人は話す

佐紀は扉を閉めると肩にかけていた鞄を置いて

桃子の隣に同じ体勢になって座った

この距離は近くて少し遠いと桃子は思った

 

「そう言えば、ボタン」

「あぁ、とられた。物好きとみやに。」

「モテモテだね」

 

桃子と佐紀は幼馴染で昔からよく知った仲だった

小学校、中学校、そして高校

春からは学部が違うが大学も一緒だ

だから必然的に仲良くしなければいけない状況だった

 

しかし、だんだん距離は離れていった

それも自然なことで、桃子はすんなりと受け入れた

 

「そうでもないよ。」

「ももなんてだーれもリボン貰いに来なかったよ」

「そう、意外。」

「こーんなに可愛いのにね」

 

距離が出来たと言っても二人になれば普通に話せて

それが純粋に嬉しいと思っていた

変わっていく事を怖いと思わない理由がそこにあった

 

「謝恩会って何時からだっけ?」

「えー、19時だったはず」

「着替える時間入れても暇だね、それまで暇だね」

「うん、暇だね」

 

佐紀が左腕にはめた時計を眺めながら呟く

降ろした瞬間、桃子の右手に当たる

ドキっとして佐紀を見ると、彼も桃子を見ていた

 

「あっ、ごめん」

「うぅん、全然。なぁにー、佐紀ちゃんそんなの気にしちゃって」

「いや、別に気にしてないけど…」

「そう、だよね」

 

視線をそらして、ジッと前を見つめる佐紀を見て

初めて見る様な佐紀だと思った

何を考えているか分からなくて、でも少しだけ悲しそうで

今にも泣き出しそうなのは、この学校ともお別れだからだって

勝手にそう決めつけて、自分には関係無い事だと思おうとした

 

「どうする、家帰る?」

「んー、ちょっとお腹空いたかも」

 

それでも佐紀は直ぐにいつも通りになる

桃子にとってそれは安心出来て、少しだけ残念に思った

だから、極力桃子も何も無かった様に振る舞う

それが二人を変えないための一番の方法だと思った

 

「ここの近くだと、人多そうで嫌だよね」

「家の近くにしようか」

「うん」

 

そう言って佐紀はスッと立ち上がる

視界に入る佐紀の背中は随分大きくなった様な気がする

置いていかれそうな不安もあるけど、

それを払拭してしまうほどの優しさがあって

自然と微笑んでしまう

 

「ほら、行こう」

「うん、待って」

「急がなきゃ先生にバレるよ」

「分かってるって」

 

桃子も立ち上がり、佐紀を追いかける

ボタンが無い学ランは案外風に靡くんだ、とか

髪の毛日に透けてサラサラしてる、とか

どうでも良い様な事を桃子が思っていると佐紀が突然立ち止まる

 

「そういえば、これ」

「えっ?」

 

振り返った佐紀がポケットに手をつっこんで

直ぐさまヒョイと桃子へ向かって放り投げる

落としそうになりながらも、しっかりとキャッチする

 

「佐紀ちゃん、これって」

「誕生日でしょ、桃」

「そうじゃなくて、何番目?」

「何番目?2番目だけど、一番人気があったよ」

 

佐紀はフっと鼻で笑って、また歩き始める

桃子は手に乗った小さな金色の塊をキュッと握りしめると

前を行く背中に置いていかれない様に

思い切り強く廊下を蹴り出した




続かないよ。オメデトウなだけだよ。


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無題
2番目というタイトルに少し不穏な空気を勝手に感じてしまいましたが、おめでとう話で良かったです。

もう18才、いやまだ18才というべきですか。
感慨深いですねぇ。
はる 2010/03/06(Sat)01:22:54 編集
桃子おめっ
佐紀ちゃんかっこえー!
名無し読者 2010/03/06(Sat)11:28:05 編集
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